書評 「蒼穹の昴」

寝たきりだったのでこれといった話題がありません。

前に書きためておいた読書感想です。

書評などと大仰なものではありませんが。



蒼穹の昴(1) (講談社文庫)蒼穹の昴(1) (講談社文庫)
(2004/10/15)
浅田 次郎

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たまたま目にした、NHKの歴史ドラマ「蒼穹の昴」。

次の日にさっそく原本の浅田次郎氏の本を買ってきました。

大清国光緒十二年・西暦一八八八年 冬から物語は始まる。

梁家屯の貧しき寡婦の倅、李春雲よ。畑もなく鍬もなく、舟も網もなく、街道に凍てたる牛馬の糞を拾いて生計となす、卑しきやつがれ、小李よ」。

そんな書き出しで始まる、壮大な出世物語。

全四巻の前半部は久しぶりにワクワクしながら読めました。糞拾いの餓鬼と、隣に住む顔見知りのエリート兄さんの友情を織り交ぜながら物語は進んでいきます。

しかし、話しが進むにつれ、違和感が目に付きます。
まあ、長々と書いても仕方ないので、本書レビューは他の人に譲るとして、とにかくこの人の本は違和感オンパレードにいつも包まれるねえ。。

世紀の悪女と名高い西太后。彼女に人間味を持たせようとするあまり、下町の中学生のような会話をしゃべらす場面。

なにか思い詰まればすぐに亡君の下に走り、亡霊として現れる「乾隆帝」とグズグズ泣き言をしゃべらす。

ねえ、おじいちゃん。もう私どうすればいいのかわからないの。。おじいちゃんなんとかしてよ・・

ここらへんから一気に冷めてきた。その泣き言中学生日記の場面が出てきたら、飛ばし読み。

前半部ではあんなに活き活きしていた春雲や文秀も、すっかり色褪せていきます。あまりにも沢山の主要人物を入れ過ぎて、とにかく話しが散漫になって落ち着かない。それを無理からまとめようと、日本人記者の岡や、外国人記者のバートンなんかで取り繕うとするけど、その視線があまりおもしろく書かれていない。

最後は中華エリート最高の印、進士中の進士、「状元」である、梁文秀は義弟の妹、そして親友でもあり義憤で死んだ「タンストン」の許婚、「リンリン」をぶってぶってぶん殴る始末。

己のやるせなさを表現したいのだろうが、「状元」とは4億人の中華の星である。それが、よっぱらって文化住宅に暮らすぐーたら親父と同じ振る舞いをさし、そして犯してしまう。

うーん。。。ちょっと無理があるよなあ。。その「リンリン」もさっきまで「タンストン」に一生を捧げて愛しますと誓わせておきながら、目の前で首を落とされる場面を見ておきながら、すぐに身を任せて

「私にできるのはこんなことしかないですから」と健気に笑う。

いやー、、それは違和感が全身を走るけどWW。

同じ浅田さんの本で、新撰組を書いた「輪違屋糸里」でも、女性心理描写があまりにも短略的で本を破いたろうかと思った違和感が思い出されましたww。

女性の割り切り感や、刹那的な生き方と、この尻軽的な情緒はまったく違うと思うのですがねえ。


まあ、これを読んでテレビドラマを見れば、さすがに手直しも入れられて楽しく見れました。ってことは、プロデューサーも違和感があったのでしょうww。

どうしても司馬先生の本に慣れ親しんでいるせいか、脚色が大きすぎて入り込めない。
登場人物の、それも主人公もサブもぜーんぶ「架空の人物」。よくここまでウソッパチで突き進めたなあ。。って関心する。娯楽本と言え、あまりにも脚色が濃いと白けてしまう。

最後の解説を書いてらっしゃる「陳舜臣」氏の言葉ではこの作品については触れず、自分の話しを並べてらっしゃる。

題名は「破天荒な小説」。

さすがである。

それでも4巻最後まで読ませるのだから、これが浅田作品の「真骨頂」なのだろうね。
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Comment

はじめまして。ふらりと検索でたどり着きました。

蒼穹の昴、さきほど読了し、激しいモヤモヤ感とともに放り出された感じがしています。

主さまの記事を読んで、もやっと感がいくらか言語化されてスッキリしました。
  • 2016-12-04│23:17 |
  • うらら URL│
  • [edit]
Re:
うららさん>訪問ありがとうございます☆浅田次郎さんの本はいつもドラマ化されるぐらい人気ですね。それぐらい親しみやすいのでしょうが、時代背景と少しミスマッチなとこも妙味なのでしょうか。壬生義士伝は、読みながら落涙する名作でしたが☆

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プロフィール

たっちん

Author:たっちん
高知で生まれ育ち、今は大阪で風来坊です。
日常で感じたことや、思ったことを綴りたいと思います。自転車でポタリング,ポケットに入れたデジカメで何気ないものを撮るのが楽しみです。

こんな私ですがよろしくお願いします。

ちなみに「ご冗談でしょう、タッチンさん」は、「ファインマンさん」からのパクリは言うまでもありませんww。

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